アパート経営は安定した収入を得られる魅力的な投資ですが、初期費用が高額なため黒字化には時間が必要です。
一般的に10年以上を要するといわれますが、物件の立地や管理状況、空室対策の実施で回収スピードは大きく変わります。何年で黒字化するのかを正しく把握し、早める戦略を知ることが成功のカギです。対策方法のアイデアや失敗しない回避策をご紹介します。
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アパート経営で黒字化するのは10年~20年
アパート経営の黒字化までにかかる期間の目安は10年〜20年といわれています。アパート経営は初期費用が高額なため、金額をすべて回収するには長い時間が必要なのです。
ただし、アパート経営における「黒字化」の定義は人によって異なる可能性があります。この章ではアパートをはじめとした不動産経営における黒字化の定義や、黒字化するまでの年数の計算を割り出す方法をご紹介します。
不動産経営における黒字化とは?
まず、不動産経営における黒字化の定義として以下の3種類が挙げられます。
- 年間収入から必要経費、税金、ローンの返済額を差し引いた額が黒字(プラス)になる
- 累計のキャッシュフロー(お金の流れ)が初期費用総額を上回る
- 累計のキャッシュフローがアパート取得時に支出した自己資金を上回る
1は単年度の収支のみに着目した考え方です。「決算書上の黒字」とも呼ばれることがあります。減価償却費を経費として計上する点や、ローン返済額を考慮しない点が特徴です。
2および3はキャッシュフロー上の黒字です。以下の式で計算した結果がプラスになったタイミングを黒字化とみなします。
初期費用総額またはアパート取得時に支出した自己資金-年間キャッシュフロー × 経過年数
※年間キャッシュフローは年間の家賃収入ー(年間の必要経費+その年のローン返済額)で計算できます
初期投資のうち自己資金の投入額を回収した時点で黒字とするか、ローンを含む全額を回収した時点とするかはケースによります。
不動産経営においては、2または3のタイミングを黒字化と考えるケースが多いです。本記事では、2の「不動産経営による累計のキャッシュフローが初期費用総額を上回った」タイミングを黒字化としています。
黒字化にかかる年数の計算方法
不動産投資の黒字化にかかる年数の主な計算方法は以下の2つです。
- 実質利回りから計算する方法
- キャッシュフローから計算する方法
それぞれ詳しく解説します。
実質利回りから計算する方法
利回りとは投資額に対する利益率の割合です。不動産投資における利回りは複数ありますが、諸経費や物件の購入費を考慮した「実質利回り」の場合は、以下のように計算します。
実質利回り(%)=(1年間の家賃収入-1年間の諸経費) ÷ (アパート購入価格+アパート購入時の諸経費)× 100
今回は実質利回りを5%と仮定して黒字化までの年数を計算します。今回用いる条件は以下の通りです。
- アパートの購入価格:3,000万円
- 購入時にかかった諸経費:200万円
実質利回りで黒字化までの年数を計算する場合、年間の家賃収入および必要経費の情報は不要です。そのため以下のように計算します。
- 初期費用に実質利回りを乗じて不動産経営による年間の利益を計算する
今回の場合:(3,000万円+200万円)×5%=160万円 - 初期費用を1で計算した年間の利益で割る。計算結果は利益の累積額が初期費用と同額になるまでにかかる年数=黒字化までの年数
今回の場合:3,200万円 ÷ 160万円=20年
上記の計算方法では、アパート経営で黒字化するまで20年かかることがわかります
キャッシュフローから計算する方
続いて、キャッシュフローで黒字化までにかかる年数を計算する方法を紹介します。前述のように、計算結果がプラスであった場合に黒字化したと判断しています。
初期費用総額-年間キャッシュフロー × 経過年数
したがって、黒字化までに必要な年数は以下の方法で計算可能です。
黒字化までに必要な年数=初期費用総額 ÷ 年間キャッシュフロー
具体的な条件を設定して計算してみましょう。
- アパートの購入価格:3,000万円
- 購入時にかかった諸経費:200万円
- 年間の家賃収入:300万円
- 年間の必要経費とローン返済額の合計:100万円
上記の例の場合、黒字化までにかかる年数は以下のようになります。
(3,000万円+200万円)÷(300万円-100万円)=16年
実質利回りとキャッシュフローでは計算方法が異なるため、黒字化までの年数に差が出ても問題ありません。
実質利回りはローン返済を考慮しない投資効率を示す一方、キャッシュフローは返済額も含めた現実的な収支を反映しています。黒字化までの年数に差がありますが、どちらも投資の判断には有効な視点です。
アパート経営で黒字化するための戦略
アパート経営をなるべく早期に黒字化するためには、キャッシュフローを増やす必要があります。
キャッシュフローを増やす方法は、「毎月の収入を上げる」もしくは「必要経費を減らす」の2パターンです。ただし、必要経費を大幅に減らすことは難しいため、実際には収入を上げる方法が一般的といえます。
アパート経営で黒字化するための戦略として、家賃収入を増やす方法について詳しく見ていきましょう。
エリアの賃貸需要を分析する
キャッシュフローを増やすために最初に行うべき対応は、エリアの賃貸需要の分析です。
家賃収入は入居率が高いほど高額になります。したがって安定した家賃収入を得るためには、賃貸需要が高く入居率も見込めるエリアを選ぶのが理想です。
また、物件のターゲット層と賃貸需要が一致しているかの分析も必須です。たとえば、ファミリー層向けの施設が多いエリアは単身者の需要が低く、単身者向け物件は入居率が低くなる可能性があります。
まずは物件が所在するエリアにおける賃貸需要を分析し、高い入居率を見込めるかを検討しましょう。
交通の利便性や周辺施設の充実度を確認する
賃貸需要とあわせて確認すべきなのが、交通の利便性や周辺施設の充実度です。立地が良い物件ほど高い入居率が期待できます。
立地が良い物件の特徴として以下の例が挙げられます。
- 駅から近い(最寄駅から徒歩10分以内が目安)
- 近隣に商業施設や病院がある
- 学校など教育施設が近くにある(ファミリー向け物件の場合)
早期の黒字化を実現するには、立地が良く高い入居率を見込める物件を選ぶ必要があります。
物件の魅力を高めるリフォームをする
リフォームにより物件の魅力が高まることで入居率が上がり、家賃収入が増える可能性もあります。
たとえば、屋根や外壁などの目立つ部分の老朽化は、賃貸物件を探す人から敬遠される原因です。入居率の改善はもちろん、退去を防ぐためにもなるべく早く対応する必要があります。
目立つ欠陥がない場合は、グレードアップにつながる工事を行うのも1つの手段です。最新設備の導入や外観のデザイン性を高めるなどにより、さらに魅力的な物件になることが期待できます。
アパート経営で黒字化の年数を左右する原因と対策
「黒字化にかかる年数の計算方法」で紹介した方法により、アパート経営で黒字化に至るまでの年数はある程度予測が可能です。
しかし、計算した通りの年数で黒字化ができるとは限りません。さまざまな要因によって黒字化までの年数がさらに長くなる可能性もあります。
この章では、アパート経営における黒字化の年数を左右する原因と対策について解説します。
空室対策や入居者トラブルの対応が不十分だった
空室対策や入居者トラブルの対応が不十分だったために入居率が低く、想定よりも家賃収入が少ないケースです。キャッシュフローが少なくなるため、初期投資額を上回るまでにかかる時間も長くなります。
家賃収入が想定より少ないという事態を防ぐためには、入居率を高めるための施策が必須です。
空室対策として、前章で紹介した「物件の魅力を高めるリフォームをする」は検討すべきでしょう。リフォームや修繕の必要性をなるべく早く把握できるよう、なるべく現地へ行き物件の様子を直接確認するのが理想です。
また、入居者トラブルは退去の原因になります。トラブルが起こらないよう、入居者と小まめにコミュニケーションをとり、必要に応じてフォローを行いましょう。トラブルが発生した場合はすぐに対応し、早期の解決を図ることが大切です。
金利が上昇してローンの返済額が高くなった
金利の上昇によりローンの返済額が高くなる、すなわち支出が増えることで想定よりもキャッシュフローが悪化するケースもあります。
金利上昇リスクを回避する方法として最も確実なのが、変動金利ではなく「固定金利」にすることです。固定金利は変動金利に比べて金利が高めではあるものの、最初に想定するキャッシュフローを大きく外れる心配がない点はメリットといえるでしょう。
変動金利の場合、ローンによる借入額が少ないほど金利上昇による影響が小さくなります。自己資金を多く用意し、借入額を少なくした上で変動金利にするのも1つの手段です。
黒字化が難しいアパートを所有し続ける
立地の問題や築年数などの理由により、対策をしても黒字化は難しいアパートが存在するのも事実です。
黒字化が難しいアパートを所有し続けるほど損失が大きくなるため、所有すること自体がリスクといえるでしょう。黒字化が難しいと考えられる場合、早期に出口戦略(売却)を行うのが有効です。
ただし、黒字化が難しいアパートは売却も難しく、なかなか買い手が見つからない恐れもあります。買い手を見つけるまでに時間がかかりそうな場合は、仲介による売却ではなく、不動産会社に直接売却する「買取」がおすすめです。
買取は仲介に比べて売却価格はやや下がるものの、早期に確実な売却が可能となります。
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トップファーストでは、全国の一棟アパートや一棟マンションといった収益物件をはじめ、様々な不動産を取り扱っております。
相続や資産整理といった不動産に関するご相談も、実績豊富な当社にお気軽にお問い合わせください。高い専門知識を持ったスタッフが問題解決をお手伝いいたします。
2023年2023年5月期_ブランドのイメージ調査(調査1~3)
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
調査期間:2023年3月14日~2023年5月31日
n数:129(※調査1)、124(※調査2)、136(※調査3)/調査方法:Webアンケート
調査対象者:https://jmro.co.jp/r01446/
備考:本調査は個人のブランドに対するイメージを元にアンケートを実施し集計しております。/本ブランドの利用有無は聴取しておりません。/効果効能等や優位性を保証するものではございません。/競合2位との差は5%以上。
