節税目的で建てたはずのアパートが、数年後には空室だらけで赤字経営になってしまった。不動産投資でそんな悲惨な末路をたどってしまうことは珍しくありません。
立地や需要を軽視したまま契約を進めてしまうと、相続税対策どころか資産を減らす結果になってしまいます。表面利回りや節税効果の数字だけに惑わされず、なぜ失敗に至るのか原因と回避策を解説します。
アパート経営でよくある失敗例と教訓
節税目的でアパート経営を始めると失敗する可能性が高い、といわれています。
そのようにいわれる要因として、立地選びの甘さや資金計画の不備、相続税計算の間違いなどが挙げられます。しかし、リスクを避けるための具体的な対策を知ることで、長期的に安定した経営が可能です。
まずは、アパート経営でよくある失敗例と教訓について見ていきましょう。
立地条件が悪く、空室率を下げられなかった
アパート経営でよくある失敗の1つ目は、「立地条件が悪くて空室率を下げられないこと」です。空室が多いと家賃収入が減り、ローンや管理費だけが残り赤字になりやすいため、経営は成り立ちにくくなります。
アパートの立地で失敗する主なケース
アパートの立地で失敗するケースは以下の通りです。
- 最寄り駅から徒歩15分以上の物件
- 周辺に商業施設や学校などの生活利便施設がない
- 人口の減少が進んでいるエリアにある
- 競合物件が多すぎる地域にある
特定非営利活動法人であるIREM JAPANが2025年に行った「全国賃貸住宅実態調査」によると、地方部(中国・四国・九州)は、都市部に比べ空室率が高い傾向にあります。
地方では人口減少が進んでいるエリアもあるため、新築物件であっても入居者が見つからない場合があるでしょう。空室率が高いと、賃貸物件のオーナーは収入が入らず、ローン返済や修繕費のコストだけが発生してしまいます。
賃貸需要の把握が成功率を上げる
入居者を集めるために、相場よりも家賃を下げるのも一つの方法ですが、当初の収益計画と乖離が生じてしまいます。
対策としては、アパートを購入する前に必ず賃貸需要の調査を行いましょう。特に、交通機関で移動することが多い都市部では、「駅徒歩15分以内」の不動産が人気です。賃貸需要を調べる方法については後ほどご紹介します。
相続税評価額の計算が間違っていた
アパート経営でよくある失敗の2つ目は、「相続税評価額の計算間違い」です。相続税を節税するために、アパートの経営を始める方は少なくありません。
そもそも相続税や贈与税は、相続税評価額によって算出されています。土地の相続税評価税は路線価または固定資産税評価額で求められます。建物は主に固定資産税評価額と同等額です。
路線価と固定資産税評価額の重要性
路線価とは、国税庁が公表している道路に面している宅地(住宅用の土地)の1㎡あたりの評価額です。一方、固定資産税評価額は固定資産税を算出するための基準の価格です。そのため、相続税評価額の計算を間違えてしまうと、相続税を下げるどころか逆に高くなるリスクがあります。
さらに、空室率が高いと相続税評価額の圧縮(節税)効果が下がるので注意が必要です。たとえば、10部屋あるアパートが満室であれば10部屋すべてが圧縮の対象となりますが、6部屋しか埋まっていなかった場合は10部屋中6部屋分しか対象にならないからです。
賃貸経営では利益を出すことが大切
賃貸アパートの経営をする際に最も重要なことは、毎月安定して利益を出すことです。節税をするためだけにアパート経営するのは避けましょう。相続税対策として物件を建てる場合でも、収益性を確保できるかを最優先に判断することが大切です。
参考:国税庁|No.4602 土地家屋の評価
アパート経営で注意が必要なオーナーの傾向
アパート経営をする際は、ターゲット層や立地などを見極め、長期的に家賃収入が入る物件を選ぶ必要があります。見誤ってしまうと入居者が付きづらく、安定した収入が見込めないかもしれません。
ここでは、アパート経営をする際の主な注意点を3つご紹介します。
- 売却価格だけに注目している
- エリアのターゲット層を確認していない
- 長期的な視点でアパート経営を考えていない
アパート経営の失敗を避けるために、1つずつ見ていきましょう。
売却価格だけに注目している
物件価格だけを重視する賃貸物件のオーナーは、アパート経営に失敗する可能性があります。
以下の特徴に当てはまる考え方や物件には注意が必要です。
- 相続税評価額など節税効果を重視
- 市場の賃貸需要の変動を無視
- 利回り15%前後の地方物件
- 修繕した回数が少ない築古の物件
たとえば、主要な駅から距離が離れていたり、近隣に商業施設がなかったりすると、アパートの物件価格を抑えられるでしょう。そのため、表面利回りが高い優良物件と感じるかもしれません。
しかし、実際には入居者が集まらず空室期間が長期化し「収入が得られない」となる可能性が高いのです。さらに、アパートを売却する際も買い手が見つからず、売却までの期間が長期化するリスクも考えられます。
賃貸アパートを経営する際は、入居者が集まりやすく安定して家賃収入が入るか、という観点で物件を探すとよいでしょう。
エリアのターゲット層を確認していない
エリアの入居者層を把握せずにアパートを購入すると、需要とのミスマッチが起こり空室が長期化することがあります。
以下のように、ターゲット層のニーズに合っていない物件の場合、入居者が見つかりづらいためです。
- ファミリー地区にワンルーム物件を建築
- 学生街にファミリー向け3LDKを建築
- 高齢者の多いエリアに若者向けの設備を導入
- 通勤需要のない立地に会社員向け物件を建築
上記のようなミスマッチを防ぐためには、需要があるターゲット層を明確にして、どのような間取りや設備が必要なのかを確認します。また間取りだけでなく、設備面も重要です。
たとえば、学生向け物件であれば、インターネット無料や家具付き物件は人気があります。一方、ファミリー向け物件の場合、駐車場付きや収納スペースが多い物件のほうが求められています。
ターゲット層の需要がズレていると、競合物件に負けてしまい入居者から選ばれづらくなります。
長期的な視点でアパート経営を考えていない
目先の節税効果や初期利回りだけを考え、長期的な事業計画を立てていないオーナーも注意が必要です。
短期的な利益を優先すると以下のようなデメリットがあります。
- アパートの修繕費用が足りない
- 家賃下落や空室率上昇のおそれがある
- 減価償却終了後の税負担が増加する
- 金利上昇によるローン返済が高額になる
運営直後は黒字でも、不動産は築年数が経つと外壁塗装や設備更新が必要になり、数百万円の修繕費が発生します。また、変動金利型のローンは金融情勢により返済額が一気に跳ね上がることがあります。
こうしたコストを考慮していないと、修繕費を捻出できず入居者離れを招きかねません。アパート経営をはじめとした不動産投資をする際は、長期的な視点が必要不可欠です。
アパート経営の失敗リスクを避ける対策法
最後に、アパート経営の失敗を回避する方法をご紹介していきます。
成功しているオーナーがどんな対策をしているかをぜひ参考にしてみてください。
物件選びは時間をかけて行う
アパート経営を始める際は、物件選びに十分な時間をかけることが大切です。なぜなら、アパート経営の成功は取り扱う物件によるところが大きいからです。
以下の特徴に当てはまる物件は、賃貸需要が少ないため避けたほうがよいでしょう。
- 駅から遠い、または賃貸需要の乏しい立地の物件
- 人口減少が著しいエリアにある物件
- 周囲の治安が安定しない物件
物件の選定に時間をかけることで、入居者の求めるニーズに合致した物件を見極められるようになります。アパート経営を成功させるためにも、選定は最も重要なステップのため、十分な時間をかけましょう。
家賃相場やエリアの需要をきちんと確認する
物件を購入する前に、家賃相場やエリアの需要をしっかりとリサーチします。特に重要なのは「対象エリアの家賃相場」と「賃貸需要の動向」です。
対象エリアの家賃相場から乖離した家賃設定をしてしまうと、以下のようなデメリットが生じます。
- 相場よりも高く設定したため入居者がつかない
- 相場よりも低く設定したため本来得られる家賃収入を逃す
また、賃貸需要の動向を把握することも欠かせません。大学周辺の物件で学生需要を見込んだものの、その大学が移転してしまったため、入居者を見つけるのに苦労したという事例もあります。
賃貸需要を調べる方法
調べ方としては、不動産ポータルサイトで競合物件の家賃相場と需要を確認したり、不動産調査会社のレポートを確認したりする方法などが有効です。
対象エリアの需要を無視して、アパート経営をすると失敗する可能性が高まります。リスクを避けるためにも、物件選びと同様に市場調査を確実に行ってください。
信頼できる不動産会社を見つける
アパート経営を成功させるためには、信頼できる不動産会社を見つけることも重要になります。
不動産会社を選ぶときに確認すべきポイントは以下の通りです。
- 担当者の専門知識が豊富
- 入居率の改善を提案してくれる
- アフターフォロー体制が整っている
- 物件のリスクやデメリットも正直に説明してくれる
不動産会社を決めるときは1社だけではなく、複数社に相談することで自身に最適なところを見つけられます。また、物件がある地域に精通したり、担当者のレスポンスが早かったりするところであれば、より安心感があるでしょう。


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2023年2023年5月期_ブランドのイメージ調査(調査1~3)
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
調査期間:2023年3月14日~2023年5月31日
n数:129(※調査1)、124(※調査2)、136(※調査3)/調査方法:Webアンケート
調査対象者:https://jmro.co.jp/r01446/
備考:本調査は個人のブランドに対するイメージを元にアンケートを実施し集計しております。/本ブランドの利用有無は聴取しておりません。/効果効能等や優位性を保証するものではございません。/競合2位との差は5%以上。